政策

僕もコメの高値誘導策は大いに疑問です

 先月半ばに掲載された「コメの高値誘導策は疑問だ」と題した日経の社説は、おそらくTPPはじめ農業問題に関する国会審議でまず取り上げられることのない、しかしきわめて重要な論点です。

 飼料米を戦略的作物と称して、経営所得安定対策のなかでも突出した交付金(10アールあたり最高10万5千円、最低でも5万5千円)を交付するのですが、この金額収入の9割なんですね。まぁ国産飼料の増産なんぞといえば聞こえはいいけれど、要は、食用米を作らせないようにしてコメの高値を維持するために、安い飼料米を作ればお上が収入の9割を補填するよというわけ。消費者に高いコメを買わせるために税金を投入するという、市民感覚からすれば二重取りといっても過言ではないでしょう。

 ちなみに民主党政権時の戸別所得補償は、事実上の減反さえすれば10アールあたり1万5千円あげるよという、およそ政策の名に値しないばらまきでした。当時、僕の住む地域では説明会が平日の午前に開かれたのですが、当然集まりが悪く、「所得補償の対象になる方はサラリーマンが多いので別途説明会を開きます」なんて担当者がのたまってたあたりに、この政策の愚かさが伝わってきますが・・・。(ロシアのアネクドートみたいな話が、この日本では現実にあったのです)

 閑話休題。

 まぁ、民主党に比べて自民党は悪知恵が働くということなんでしょうね。

 

 

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財務省がコメから玉ネギに転作を推奨だって・・・アホですね

 報道では、米の場合10アール当たりの収入が補助金込みで12万3千5百円だけど、玉ネギだと32万と、米の2.6倍の収入が得られるとして転作を提言したとのこと。

 突っ込みどころはいくつもあるけど、ほとんどは捨象して、二点だけ。

 稲作10アール当たりの年間労働時間は30時間前後。(有機栽培だと草とりにかなり時間がかかりますが、 玉ネギの場合90時間。とすれば、米の2.6倍の収入のために、米作りの3倍働くというわけです。財務省がそういう奇特な方が続出することを期待するのは勝手ですが・・・・。

 もう一点、財務省の方はご存じないのかもしれませんが、玉ネギは長期貯蔵できるので、いまだって結構輸入されていますし、比較的作りやすい作物なので、供給過多になって二束三文にしかならないこともままあります。現状でも・・・。

 ともあれ、批判を受けるというより、むしろ笑いを誘う提言というべきでしょうか。

 

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TPPで農業崩壊するって?

 TPPへの参加が日本農業を崩壊に導くという考え方は、日本農業の現状を今後も維持していくことを前提とし現状の変化イコール崩壊ととらえるなら、確かに成り立つ見解ではあります。

 しかし、現状の変化に活路を見いだそうとすれば、TPPは痛みを伴いつつも積極的意義を認めることができます。

 専業農家の僕は、TPPにもろ手を挙げて賛成しないまでも、どちらかといえば後者の立場に属します。農家全体では少数派かもしれませんが、専業農家だけなら僕のような気分が大勢だとは思うのです。

 ちなみに農地を10アール以上所有しているか売り上げが15万円以上あれば農家とカウントされ、政策の対象となります。例えば10アールの田んぼを所有する会社員が、田んぼの片隅に家庭菜園程度にサツマイモを植え付けておけば、経営所得安定対策(民主党政権時は戸別所得補償といってましたが)の名目でいくばくかのお金が入るわけです。こんな政策を続けることが農業崩壊を食い止めひいては振興発展につながるというならご同慶の至りですが・・・・。

 僕なんぞは、TPP参加が、上記のようなばらまきをやめ、農業政策を見直すきっかけになることを期待したいのですが、TPPを理由にアホな財政支出を膨らませるなら、TPP参加が日本農業を崩壊させたという結論をいずれは導き出すでしょうね。

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教員の「国家免許」

 時には自民党もいいこと言うじゃないか・・・、って印象なのが、教員免許の改革提言。

 国家試験と研修を経て国が免許を交付するというのは、おおむね医師免許が念頭にあるのでしょうが、まぁ基本的にはいいのではないでしょうか。僕も十数年前、法科大学院創設法案に関連した質疑の中で、むしろ教員資格にこそかかるスキームが必要で、合わせて教員免許を国家資格にすべきではないのかと、文科省に問うたことがありました。たしかそうした可能性はあるという答弁だったかとおぼろに記憶していますが・・・。

 ちなみに、教員の配属についても、都道府県のニーズ(たとえばどの科目に何人の教員が必要とか)を踏まえつつも、免許取得者の希望に沿いながら、国が主導的に勤務地を決めるべきだと思いますね。

 こうすれば基本的に不正は起こりえませんから・・・。

 教員採用の不正もしくは情実採用は、数年前明るみになった大相撲の八百長とよく似ていて、だれもそれを認めないけど公然の秘密だってところがありました(一応過去形)。例えばある県では、かつて役場は100万、教員は300万が相場と公然と語られていたそうです。ちなみにこの県では不正採用が明るみになり、幾人かの採用取り消しと収賄容疑の立件がなされたものの、長年の悪弊にメスが入ることはなかったとのこと。情実といっても一次試験合格は最低条件でその後の面接で色を付けるのが通常でしたが、この県では試験に加点するという救いようのない不正が長年続けられていたそうですから、事実なら開いた口がふさがりません。

 いずれにせよ、国家免許の間口を狭くして、その代わり取得者は100%教員に採用されるという制度のほうが、教員の質の向上、教員採用の公正という点からは、現行制度より優位なのは明らかでしょう。

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やらないよりマシの農協改革

 准組合員の農協利用に制限がなければ監査権限を取り上げられても我慢するという全中の判断は、案の定というか・・・。

 

 非農家の扱いが農協の生命線というブラックユーモアのごとき本質が今更ながらはっきりしたのに、ニュースでも散々全中を頂点にしたピラミッドを示して見せながら、なぜかその点だけはスルー。

 

 そもそも今回の農協改革が、農業の振興ひいては農家のためになるかどうかなんて問いかけ自体がナンセンスなのです。現在の農協は、農村地域を基盤にしてはいるものの、農業という産業とそれに従事する(生計を立てている)農家を基盤にした組織ではないからです。

 

 ちなみに民主党は「ピント外れ」と批判しているようですが、政府案が靴の上から足を掻くがごときものとはいえ、ピントどころかまるっきり方角違いの「戸別所得補償」で農業の再生をストップさせたのに比べれば、やらないよりはマシだとは思いますね。

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全中が本丸じゃないけどなぁ

 農協改革はもちろん必要です。とりわけ全農、JAバンクなどの機能を分割することは改革の要諦であることはいうまでもありません。むろん全中の妙な権限を外すことも必要です。農業で生計を立てている専業農家ではなく、片手間兼業や農地を持ってるだけで農業なんて一度も従事したことのない組合員、准組合員にシフトした組織なんて一度解体してみればいいいでしょう。

 

 が、専業農家からすれば、農協がいやなら個人で市場に出荷すればいいわけで、農協抜きで農業をやることは不可能なことではありません。(地域事情があるでしょうから一概には断言できませんが)

 

 でも、避けて通れないのが農業委員会。全中の監査権限がどうのうこうのという前に、農業委員会の廃止こそ急ぐべきだと思うんですけどね。はっきり言って新規就農の壁ですもん。

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現実からかい離した各党の農業政策

 国政選挙のたびに主要政党の農業政策は一応チェックするのですが、まぁ悪意はないのでしょうけれど、どれもこれも農業の実態からはずいぶんかけはなれているのなぁという印象も毎度のことですね。

 

 ちなみに公明党の公約は、実態からかい離している云々以前に抽象的な文言過ぎて評価のしようもありませんが、一方自民党は細かい話はやけに具体的なのが好対照。鳥獣害対策まで言及してるのは、イノシシ、鹿などの被害はいま農家にとって切実な問題だけにこうした個別課題を列挙すること自体は悪くないどころか大いに結構なことです。が、その分だけじゃあ総論はどうなのって突っ込みたくなるのですが、このあたりになると、農協改革の振り上げたこぶしはマボロシだったのかって感が濃厚。

 

 今回の選挙で民主党は政権交代をめざさないそうなので、マニフェストは初めから空証文ということですから読む真剣度も薄れちゃいますが、戸別所得補償の法制化なんぞを掲げるあたり、「もういいかげんにしてくれ」ですね。現実からのかい離の極致ともいうべきか・・・。百姓をしてない人を農家にカウントして金をばらまくって、専業、主業農家を愚弄し、国家予算を使って農業を滅ぼすおつもりなのかな・・・。お話になりません。

 

 あくまで農業政策に限ってということなら維新の党が一番マトモといえます。どこがマトモかって? 政策の対象のピントを専業、主業農家に合わせていることですね。この党の政策の7~8割は共感できないけれど、こと農業に関しては農協の事業分割にもきちんと言及しているし、農業委員会廃止まではっきり言ってくれればかなり点数は高くなるのですが。

  さて、農業者にかぎらず小規模事業者にとって頭痛の種は消費税。加えて円安のダブルパンチで経費は上がるは、売り上げは上がらないはの悪循環。軽減税率じゃなく中低所得者層への還付金制度をなぜ検討しないのでしょうか。また、いずれ消費税率を上げるのなら免税点の引き上げは必須。3,000万に戻せと言ってるのは僕がチェックした範囲では共産党だけというのも寂しい限り。簡易課税を廃止してもいいから免税点を引き上げないと、現場はもたないんだけどなぁ。

 

 

 

 

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わりとまともな農政改革

 雨のため心ならずも二連休・・・。

 

 収穫、出荷、播種、定植、圃場管理、加えて田植えetc・・・、農繁期と梅雨が重なるのは毎年のことではあるのですが・・・。

 

 話は変わって、僕はちっとも安倍内閣を支持してるわけではないのですが、先ごろまとまった農政改革については、結構マトモじゃんって感じなんですね。もっともこれまでの農政がアブノーマル過ぎたことからすれば、正常な感性を取り戻したというレベルですが、まぁそれはそれで大事なことです。

 

 まず第一は、農業政策を産業政策としてとらえていること。こんなことあたりまえなのですが、そのあたりまえがこれまで通用してなかったのです。例えば、農業政策と農村地域の社会政策は、政策対象が多少重なるにせよ、政策の質は当然異なります。が、農業政策に後者の政策を忍び込ませ、というより主客転倒させてきたのが、従来型農政。結果、専業農家、主業農家は蚊帳の外におかれてきたといっても過言ではありません。今回の農政改革は農業で生計をたてるもしくはたてようとする本来の意味の農家にとって、いくばくかの望みを抱かせるものではあります。

 

 第二は、農協のあり方に不充分ながら本格的にメスを入れたこと。もっとも全中が画一的な方針を下部に課しているというよりは、全中じたいが盲腸みたいな存在だから解体するというべきではありますが。金融共済部門を切り離し、販売部門に収斂させるのが、現場感覚で言えば、農協改革の要諦です。これを農協解体といえばそうなのでしょうけれど、農協の有無と農家の利益不利益とが相関関係を持たないような農協になってしまっていることが最大の問題なのです。

 

 第三は、農業委員会の抜本改革に踏み込んだこと。ちなみに僕は、任命制などとゆるいとこを言わずに、農業委員会は廃止し、農地に関する諸申請は行政が受け、法にのっとって判断すればいいだけのことだと思うのですが。むろん異議申立を受ける第三者機関は必要ですが。

 余談ながら、従来、農業委員が申請者に対して値打ちをつけるのは、いわゆる5条申請に際してだというのは、公然の秘密ですらありません。農地を守るための委員の評価が、農地法5条による転用をいかに円滑に運ぶかで決まるという皮肉なお話でもあります。転用許可を受け、二束三文の田畑が数十倍の価格で売却され、結果農業委員の懐にも・・・、ってのも伝説の類ではありません。

 

 さて、企業の農地参入は農業を破壊し、農地を崩壊させるなどという主張が、ままみられますが、今後農業分野に他分野の企業が参入する場合に気を付けておくことは、さきの主張のような問題ではありません。いきなり農地を取得するより、企業側のニーズにかなった既存の農家と契約栽培でいくほうが、参入企業にとっては低リスクとなりますから、その際に農家を買いたたく危険にこそ注意を喚起すべきでしょう。

 

 新聞報道などを見ていると、企業の農地参入の是非やら、大規模農家優遇で小規模農家が厳しくなるとかいった話が散見されますが、いつも不思議に思うのは、なぜ農業で食ってる農家に着目しないのかということです。農業という産業に従事する比率が低いいわゆる兼業農家にウエイトを置くという農業政策がノーマルなわけありません。

 

 

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消費税増税なら免税点を引き上げるべき

 今回の消費税論議の中で、簡易課税について見直すことが検討されているそうです。簡易課税とは課税売上高が5000万以下の事業者の場合、事業の種類によって50~90%を「みなし仕入れ率」として、要は架空の課税仕入額を認めるというもの。今回指摘されているのは、現実の課税仕入額と乖離があるじゃないかという点。まぁ、一概には言えませんが、例えば農業の場合は70%のみなし仕入れ率ですが、コストを抑えてそれ以下の金額に抑えている農家も少なくないでしょう。

 ならば、率を見直すなどとちまちましたことをせずに、簡易課税そのものを廃止すればいいのです。そもそも一律に「みなす」ことじたい公正さを欠きます。どんな業種であれ、課税売上高マイナス課税仕入高の金額さえ出せば、納めるべき消費税額は算出できるのですから、普通にやればいいのです。通常青色申告をしていればその程度の計算におそろしく手間隙がかかるわけではありません。(お上がドンブリ勘定を推奨するならべつですが)

 しかし、簡易課税廃止は、現行1000万の免税点を3000万に戻すこととセットにすべきです。だいたい益税などという問題を持ち出してまことしやかに、零細自営業者が、本来納めるべき消費税を懐に入れているなどデマもはなはだしい話です。いったいどれだけの業者が消費税増税分を価格に転嫁できるというのでしょうか。僕のように農業を営んでいる場合、近所の直売所に出すもの以外、値段すら自身で決められません(市場のせりで決まるんですから当然蚊帳の外)。そもそも消費税が上がった分だけものの値段が上がるわけではないことなど自明の理でしょう。つまり零細業者にとっては課税売上高は増えないけれど納める消費税は倍になるというわけです。

 一方、論理的には正当性を誇る輸出戻し税。確かに海外に輸出するものに日本の消費税を加算するわけにはいきませんから、その分を戻すというのは理屈にかなっています。が、実態は下請け孫請けから買い叩いておいて、最後に製品を輸出する大企業が丸取りしているわけです。消費税率が10%になればそれだけで輸出戻し税は倍増という具合。

 税は公平公正が原則です。まして消費税のようにすべての国民が対象になる税は、徹底して原則に忠実であるべきでしょう。税率を上げるというなら、一体改革うんぬんもさることながら、税それじたいの公正さを、誰もが納得できるように提示していただかなければなりませんね。

 

 

 

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TPP賛否の論法

 TPP賛成、反対の論客がそれぞれ朝のニュース番組に2日にわたって出演、各々の立場を展開されていました。

 昨日は、反対の中野剛志氏、今朝は賛成の古賀茂明氏。ご両者とも奇しくも経済産業省の出身。なにかと批判を受ける官僚ですが、かかる人材を輩出している点では裾野の広さを感じさせます。

 今回の企画は討論ではないので、それぞれの立場で限られた時間であっても要点はきちんと展開できるため、視聴者にはわかりやすいものでした。

 ちなみに2日間通してみた視聴者の多くは古賀氏に軍配を上げるでしょう。賛成の立場だけでなく、反対論を論理的に積み上げている人も中野氏の論旨では「負けているな」と感じたのではないでしょうか。もっとも古賀氏の場合、前日の中野氏の発言をチェックしたうえで発言されているでしょうから、古賀氏のほうが有利な条件で発言できたという点は割り引かなければなりませんが。

 ただ中野氏の評価を下げたのは、その論旨よりも、賛成派に対して「地獄に堕ちろ」だの「売国奴」などと発言したことでしょう。氏はグローバル経済じたいに懐疑的もしくは批判的な立場なのですから、その見識を正々堂々論じればよかったのです。なのに、日本政府は普天間基地の移転問題でアメリカとの間に溝ができたのでTPP参加でその埋め合わせをしようとしているなどと評論家のような見解を示したうえに、賛成派を罵倒するのでは識者の発言とはとてもいえません。

 もっとも、肝心のアメリカは日本がTPPに参加することを歓迎しているのでしょうか?もし僕がアメリカ政府なら、日本が多国間交渉にしゃしゃり出てくるよりも、二国間交渉をやったほうが得だと思うのですが・・・。

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