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天皇の「お言葉」は歴史的事件として語り継がれるかもしれません

 「俺へのあてつけか」 と、我が世の春を謳歌する安倍首相は渋面をつくったかどうか?・・・と詮索したくなるほどに、天皇の「お言葉」は意味深長です。

 「私は国事行為を行うとともに、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました」との今回の「お言葉」と、かつて旧帝国憲法と比較して「日本国憲法下の天皇の在り方の方が天皇の長い歴史で見た場合、伝統的な天皇の在り方に沿うものと思います」(結婚50年にあたっての記者会見)を重ねてみると、天皇を象徴かつ国家元首と明記する自民党改憲案に肘鉄をくらわしたようにもみえます。

 「象徴」という言葉が8回もでてくるあたり、天皇がかなりその言葉とむろん内実にこだわり愛着すら抱いているであろうことはじゅうぶん推察できるところです。

 要は天皇が「象徴」としての役割(少なくとも現天皇が考える)を果たすことが難しくなった場合は、譲位できるようにしてほしいということははっきりしているのですが、摂政を置くことで対処する方法は、務めを果たせない天皇が天皇のまんまいるんだから駄目よとまず釘をさしているところは興味深いですね。天皇の意を受けた宮内庁と官邸とのやりとりの中身がしのばれます。

 「お言葉」は摂政だとなぜダメかについても具体的に述べています。まず、天皇が重病になると社会が停滞し国民の暮らしに様々な影響が及ぶことを挙げています。おそらく昭和天皇重病時の自粛ムードが念頭にあるのでしょう。もう一点、天皇崩御の際には、弔い事の行事と新天皇即位に関する行事が同時並行で進み、許容範囲をこえた負担を残された皇族が強いられることにも触れています。

 報道によれば、数年前から官邸と宮内庁との間でやり取りがあったようですが、話は進展せず、ついに業を煮やした天皇が、直接行動にでたというところでしょうか。巷間取りざたされている現天皇に限った特別立法ではなく皇室典範改正を望んでいるように行間からは感じ取れるのは深読みでしょうか。

 いずれにせよ、世論調査では9割が生前退位を支持しているなかで、年を重ねる天皇を目の前にして、時間をかけてってことは安倍内閣にはできません。しかも、象徴にこだわる天皇の「お言葉」が自民党はじめとする右派の改憲の動きに水をさすことも必定。改憲派にたった一人で日本国憲法の守護者として対峙しているようにすら見受けられます。

 ともあれ、「お言葉」は読めば読むほど、政治的匂いがほのかに漂ってきますが、天皇が国政に関する権能を有さないというのは、天皇の言動がそれによって制限されるということではなく、天皇がいかなる発言をしようともそれらは政治的ではないし、政治的に受け取ることもないという国民の側の受け止め方との合わせ鏡によって成り立っているものと認識すべきでしょう。

 

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