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海音寺潮五郎と司馬遼太郎

 「ペルシャの幻術師」で司馬遼太郎を見いだし、「梟の城」を直木賞に強く推したのが海音寺潮五郎であることは、司馬ファンのあいだでは人口に膾炙していることでしょう。

 ただ司馬作品はほとんどの作品を文庫で入手できる一方、残念ながら海音寺作品はその多くが絶版となっています。

 

 ちなみに双方読み比べてみると、小説巧者という点では、海音寺潮五郎が優れているなと感じることもあります。最近「蒙古来たる」という海音寺作品を読んだのですが、主要な位置に架空の人物や無名の庶人を登場させ、伝奇スペクタクルを展開しながらも、蒙古襲来という史実を鳥瞰できるという、なによりも娯楽小説として面白く読み進めることができました。大河ドラマにも取り上げられ、映画化もされた「天と地と」の場合、伝奇的要素は少ないものの、少年の成長過程が躍動感あふれる物語の中で展開されていきます。

 

 一方、司馬作品を読まれた人は僕と同じような印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、「梟の城」「風神の門」「風の武士」そして最後の小説である「韃靼疾風録」などは、時代背景はテーマに違いはあれど、展開のパターンはほぼ同様です。また、「大盗禅師」や「妖怪」は、途中で物語が事実上破たんしています。海音寺は「妖怪」連載当初かなり評価して、新聞社にこれを大々的に宣伝すべしと手紙を送っているほどですが、結果はその期待には応えられなかったといえます。

 

 べつに司馬作品をけなすつもりなのではありません。僕は「竜馬がゆく」「国盗り物語」「燃えよ剣」の三作は歴史小説の金字塔だと思っていますし・・・。

 要は、海音寺作品がほとんど入手困難になっていることが残念でならないということだけなのです。ほんとおもしろいのになぁ・・・。

 

 

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