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TPP参加の是非以前の問題

 仙谷由人氏の「農協が反対をわめいて走っている」との発言はお世辞にも品は良くないですが、「農業外所得で利益を上げている団体が、農業のためだと言ってTPPに反対するのは筋違いだ」との指摘は的を得ているというべきでしょう。というよりこれだって事実を述べたに過ぎないといえばそれだけのことなのですが。

 ただ、TPP参加に賛成、反対のいずれの立場にせよ、「圧力団体」の言説は眉唾だと疑っておく必要があります。理由は簡単なこと。農協が農家(とりわけ規模の大小を問わず専業・主業農家)の意見を代表しているわけでもないし、医師会が医療を受ける患者の思いを代弁しているわけでもないからです。もっとも賛成の急先鋒ともいえる経団連の場合はその主張が露骨に過ぎるため眉唾以前かもしれませんが・・・。

 ちなみに僕は、反グローバリズムの立場からTPP反対を主張するのであればそれは一つの見識だと思います。が、好むと好まざるにかかわらずグローバル経済のなかで日本が成り立っているととらえるならば、TPPも、好むと好まざるにかかわらず避けて通れないことは言うまでもありません。

 TPPの各国協議の最大の焦点が農業分野というわけではありませんが、日本国内ではTPPに参加すれば日本農業は壊滅すると警鐘を鳴らす団体や識者はかなりいらっしゃいます。(わめいている輩がいる、などと下品な表現はいたしません)

 しかし専業農家の実感からすればこの主張はほとんど響きません。むしろ自民党農政が選挙向けのバラマキを繰り返し的確な政策展開を怠り農業を衰退させ、いま民主党がそれの上を行くバラマキで票をひきつけようとしていることのほうが、農業壊滅にむけた現実的な方向に映るからです。

 実際、野菜作農家の場合、関税がゼロになろうが多くの場合それ自体で現状が大きく変わるということはありません。僕の場合、白ネギ生産で生計を立てているわけですが、ネギの場合関税は3%。これがゼロになったからといってTPP参加国がネギを日本に大量輸出しようなどというインセンティブにはおそらくならないでしょう。

 一方、影響をもろに受けるのが、さとうきび、こんにゃくなどと米でしょう。とりわけ、さとうきび、こんにゃく農家は専業が多いですから、TPPに参加する場合、国策としてこれら農家の支援策を具体的に示し実行することは絶対条件です。では米の場合はどうでしょうか。水稲耕作は農業の中でもっとも専業率の低い分野です。これまた国策によってかかる構造、つまり米作りをやろうがやるまいが生計にほとんどまったく影響しない兼業「農家」が農家の圧倒的多数を占める状況を創ってきたのです。それを前提に組み立てられた政策は、農業をやろうがやるまいが生計にかかわりない農家にはちょっぴりオイシイけれど、農業で生計を立てている農家にはかなりシンドイものになります。ですから逆にTPP参加の影響で兼業「農家」が撤退してくれれば、米の価格が下がっても十分太刀打ちできる条件がうまれるのではないかと期待する専業コメ農家は少なくないと思うのです。

 こういったとき必ず出てくるのが「一部の大規模農家だけを保護して零細農家を切り捨てるのか」という主張。僕のような零細専業農家からすれば「ふざけるな」と言いたいところですが。連作のできる野菜ならともかく、米の場合は規模がある程度なければ生活が成り立たないのですから、水田を専業コメ農家に集積するなどあたりまえのことなのです。またごく一部には大規模農家=大地主との誤解もあるようですが、圧倒的多数の大規模農家は大規模小作農であって決して大地主ではありません。

 ともあれ農業の現実に即した政策展開さえあれば、TPPなど農業の未来にさほど影響を及ぼさないと思うのですが・・・。(続く)

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