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震災補償-「闇小作」の場合

 「闇小作」といっても、決して悪いことをしているわけではありません。ただ農地法では、農地の貸借は農業委員会が認めたもの以外、口約束で借りている場合などは契約無効とされているため、この種の貸借で耕作しているケースを「闇小作」と呼んでいるのです。(ただこのケースでも仮に借主が20年以上耕作を続けてきた場合、時効取得といって契約が有効とみなされますが)

 例えば僕の場合も、地主さんの要望次第で農業委員会を通して借りている農地もありますし、口約束で小作料は年○万円でとか、「管理してくれるだけでいいから小作料なんて要らないよ」ってこともあります。

 僕の周囲では、口約束の貸借、つまり「闇小作」は農業委員会を通しているケースよりも多いですね。

 ちなみに東日本大震災の被害地域で、農業委員会を通さず相互の信頼関係で口約束の貸借がどの程度あるのかわかりませんが、補償の段になると、本来契約無効なのだからということで実際に耕作している農家が被害の補償を受けられなくなるのではないかという問題が浮上してきます。

 政府がどう考えているのか、また被災地でそうした問題が取り上げられているのか、いまのところ僕は把握していないのですが、心配なところです。

 というのは、戸別所得補償や転作補助金などの制度の歪みが、いわゆる「闇小作」を生んでいる実態がありながら、実際の耕作者が救われないというのは道義的に看過できるものではないからです。歪みとは簡単に言えば補償にせよ補助金にせよ地主の懐に入るということです。例えば酪農を営んでいる人が田を口約束で借りて自家消費用の飼料米を作っていたとします。このケースだと補助金は貸主のものになるのです。「うちは国から補助金がもらえるから、小作料はタダでいいよっ」て感じで貸借されている事実もあります。僕の場合ネギが主産品ですが、田でネギを作っている場合、農業委員会を通した貸借なら所得補償の申請ができますが、口約束だと貸主が申請して補償金を受け取ることになります。

 これは農業を守るだの、振興するなどといって、実際は一枚の田畑も耕していない人に、「合法的」に、補助金やら補償金が支払われるささやかな一例です。

 「実態が把握できないから対処のしようがない」などと「闇」に葬り去ってしまうのではないかとの危惧は、現政権の体たらくからしておそらく危惧では済まないような気がしますが、それでも耕作者を守るというあたりまえのことを今回のケースでも貫いて欲しいと、藁をもすがる思いです。なぜなら多くの専業、主業農家にとって他人事ではないからです。

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