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施政方針演説

 おそらく全文をちゃんと読んでいるのは、当の本人である鳩山首相、原稿の起案者はともかくとして、少なくとも国会議員の読了率は相当低いだろうなぁと想像するに難くない首相の施政方針演説。

 ちなみに、施政方針演説は、哲学だけを語れば空虚な抽象論にはしるきらいがありますし、かといって具体的な政策を縷々展開するだけでは無味乾燥になりがちなので、そのあたりのバランスをとり、しかも全体に格調高い仕上がりにするのはかなり難しいものです。そこでよくやる手が、むかしのエライ人の文言を引っ張ってくるやり方。今回はマハトマ・ガンジーが登場しましたが、この手法は自分の言葉に自信がないことを示すものにほかなりません。もっともこの点は鳩山首相に限ったことではありませんが・・・。

 さて、農業にかかわる問題はどう触れられているかといえば、

「わが国の農林水産業を、生産から加工、流通までを一体的にとらえ、新たな価値を創造する「六次産業化」を進めることにより再生します。農家の方々、新たに農業に参入する方々には、戸別所得補償制度をひとつの飛躍のバネとして、農業の再生に果敢に挑戦していただきたい・・・(後略)」

 とあります。

 まぁ前段の抽象的な話は、首相のお気持ちを表したという程度におさえておくとしても、新規に農業をやる人に戸別所得補償が飛躍のバネになるなどというお話は、どう頭をひねっても理解できません。首相に政府の政策のすべてを熟知せよなどとは言いませんが、施政方針で述べたことくらいは正確に理解して欲しいものです。

 今後戸別所得補償がどんな展開になるのかはともかく、少なくとも初年度は、稲作専業はもちろんですが圧倒的多数の兼業農家(農業をやらなくても生活に支障をきたさない収入が別にある方々)もその対象になるため、専業農家もしくは主業農家に農地を売ったり貸したりするインセンティブを封じる可能性が高いのです。仮に10アールあたり年間1万の小作料ならば、休日に田植え、稲刈りをして(10アールなら数日で済みます)、1万5千円の補償をもらうほうを選ぶ確率が高いでしょう。つまり人に貸すより、さほど負担にならない程度の耕作をしているほうがオイシイということです。となれば、新規就農者にしてみれば、所得補償制度は飛躍のバネどころか壁になってしまいます。

 どうやら、「いのちを守りたい」という鳩山首相の冒頭の台詞は、農業で生活、もしくはこれから生活しようとする人々の「いのち」は除外されているようです。

 

 

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