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筋の通らない法人税減税

 まえにも述べましたが、この参議院選挙では税制が争点になることはなさそうです。自民党はそもそも政策で具体的に触れることを意識的に避けていますし、民主党の政策も国民的関心を呼びそうな話題は避け、「給付付き税額控除」の導入なんてのをすえています。

 過去の選挙をひもとけば、税制は鬼門であることは確かです。とりわけ与党にとって、ことここに及んで、またぞろ不利な材料を自ら提供するなんてことはしないでしょう。しかし、我々有権者は、政党レベルで議論がないことをいいことに、政府税調が着々と増税路線の布石を打っていることを注視しておく必要がありそうです。

 例えば、13日の日経で香西泰政府税調会長が取材に応じ、法人税の実効税率に関して「国際水準に合わせていくことが常識」だとして引き下げに意欲を示したという記事がでています。ご丁寧に日経は「法人税下げと間接増税 EU相次ぎ実施」と題した解説記事までつけて、御用新聞よろしく香西会長のコメントをフォローしています。

 「法人税率引き下げと間接税率引き上げはセットでやるのが国際常識」と、前提抜きで常識などと言われちゃうと、勢いに押されて「そうかいな」と納得しそうになっちゃいますが、だいたい「常識」などとたたみかけられたときには、眉に唾をつけるのが「常識」なんです。

 税だけをみると確かに、日本の法人税率は主要国のなかでも高い水準にあることは事実です。しかし、それだけでは木を見て森をみないことになってしまいます。日本の国民負担率が国際水準からみてどうかという事実を捨象するわけにはいかないからです。

 国民負担率とは、国民と企業の税負担+社会保険料負担の国民所得に対する割合のことです。そのうち社会保険料負担を国際比較すると、日本の負担はフランス、ドイツ、スウェーデンの約半分なんですね。しかもそのうち企業の負担率だけをみても、フランスの3分の1、ドイツ、スウェーデンの半分。EU諸国が法人税率を下げているといっても、それに社会保険料負担を足すと、日本よりも負担は大きいのが実態なのです。

 この事実には触れずに、国民負担のうち法人税負担だけを取り出して、高い高いと大合唱しているのが、財界、それに追随しているのが安倍内閣というわけです。

 社会保障の負担はいまのまま低くしろ、法人税も下げろ、なんてあまりにも虫がよすぎます。かかる理不尽な要求がさも「常識」であるかのように流布される現実に、私たちが不感症になっていいはずがありません。 

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